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ナカの民話 episode4  「滝見観音~神への冒涜の報い」

本日はナカの民話4弾目!
鷲の里を過ぎた奥の氷柱観音神社に伝わる物語。


『滝見観音』


鷲敷の田野の外れ(現在の道の駅鷲の里を越えてすぐ)、那賀川沿いに走る県道の山際に、観音様が祀られています。
境内には洞窟があり、その洞窟の中は一面に氷柱(つらら)のように鍾乳石がぶら下がっています。
その石の形が仏様のように見えるものが多く、その中に「滝見観音」と呼ばれる仏像に類したものが3つ4つあって、
昔から信仰を集めていました。
つららの形をしていることから、「つらら観音さん」と呼ばれています。

道路のなかった昔、那賀川は高瀬舟やイカダが唯一の交通機関として利用されていた頃、
高瀬舟に客を乗せた船頭さんが、洞窟の上でこう説明しました。


「これは只の石で、そんなに尊いものではない。」


そう言いながら、水棹でその中にある滝見観音によく似た石の1つ突き落としてしましました。
そして再び客を乗せて出発しました。
やがて、下流の敷居の瀬という難所へさしかかったところ、何事もないのに急に船が転覆してしまいました。
しかし、不思議なことに乗っていたお客さんは皆助かったのですが、ベテランの船頭さんだけが溺れ死んだのです。

このことがあってから土地の人々は、ますますこの滝見観音さんを崇拝し、現在の氷柱観音のお堂を建てたということです・・・。


少し寒気がする話ですが、
この話の舞台となる「氷柱観音神社」は、山に向かって境内が続いています。
ヤマブキ、氷柱観音 016

やはり山の中だけあってこの時季もひんやり(・・;)氷柱観音2

そして、一番奥には、何かでくり抜いたかのような縦に空いた洞窟があります。
氷柱観音

色んな角度で見ると目の錯覚で観音様のような模様に見えてくる気もします。

ベテランの船頭さんもこれを壊すなんて、ある意味根性座ってますね(^_^;)笑

やはり、境内は神聖な場所です。
観音様のみならず、その空間全てに敬意が必要なのかもしれませんね。


ちなみに、

もっとゆっくり撮影したかったのですが、何分ビビりな性分の為

洞窟はあんまり覗けませんでした。

ごめんなさいm(__)m

近くに寄った際は是非お参りに行って、実際に見て下さい!


ではではまた明日もナカでお会いしましょう♪





「茶碗が渕」
参考文献:那賀町合併十周年記念誌 那賀町の民話 神仏編 15ページ

episode3 「ごうの岩~憎まれし大蛇~」

本日は大塚製薬入り口のお庵の溜池と、那賀高校を下った川辺のある岩より伝えられたお話



「ごうの岩」

小仁宇、お庵の溜池(現在:大塚製薬入り口溜池)を作った当時、

村の人々は妖怪や悪霊が入らぬことを祈り、仏法によって、青銅の鋺をそこに入れた。


その頃、それまで下の蛇の釜という所に住みついていた大蛇が谷を上り、

出来上がったばかりのお庵の溜池に入ろうとした。

しかし、青銅の鋺の効力により、どうしても入ることが出来なかった。


大蛇は再び谷を下って那賀川に帰り、上流にある大きな岩にぐるぐると巻きついた。


以降、村の人々はその大蛇を見る度に、

「ごうな奴じゃ。」

と口を揃え、ののしりながら憎らしそうに見ていたという。


それからというもの、この岩を 「ごうの岩」 と呼ぶようになった。

ごうの岩は那賀川の改修工事によって、巨大な姿は失われたが、

今もその岩は強い存在感を放ち、たたずんでいる。





この大蛇、民話集には記されてはいないのですが、よほど悪いことをしていたのか、

ここまで村の人々に恨まれる存在になった理由がすごく気になります。

実際にこの、ごうの岩、現在ではどの岩を指し示しているのか詳しい文献は無く、

私も民話集だけを頼りに現地に行ってみたのですが、、、

その岩の場所であろう所にに行ってみると、遠くからでも何か得体のしれない雰囲気が醸し出されていました。
ごうの岩 003

ごうの岩 002

古来から付喪神など、物にも長い年月を経ると魂が宿ると言われておりますが、

何らかの理由で憎しみ続けられた自然物となると中に宿る魂や気などは我々の計り知れないものになっているのではないでしょうか。。。

ちなみにお話の中で「ごうな奴」とありましたが、

意味は、業が湧く、業を煮やす、などとも言い、

今で言うと「メッチャムカつく」的な感じです。

昔の言葉の方が迫力ありますね(・・;)




それにしてもナカの民話、まだまだ出てきそうですねー♪




これを機会に

「数多の伝説が生まれし街」
「奇々怪々な街」
「神々の眠る街」

などのサブネーミングが付けば面白いんですけどねぇ(゜_゜)笑

そうなるようにこれからも地道にコツコツと那賀町の不思議を探して参りますので、

是非皆様も情報を寄せて下さい!!!!!



ではではまた明日もナカでお会いしましょう\(^o^)/



【参考文献】
那賀町合併十周年記念誌 那賀町の民話 230ページ

episode2 「茶碗が渕~切なきお菊~」

本日もナカの民話を頼りに冒険に行って参りました!




「茶碗が渕」

これは百合谷、村の入り口近くに茶碗が渕というそれはまた底が見えない程深い滝壺でのお話。


昔々、百合谷の宗重という者の家にお菊という娘が雇われていた。


この娘、たいそうな働き者で宗重もよく可愛がっておったそうな。


ただ一つ気になることに、


しょっちゅう夜更けに家を抜け、夜明けに帰ってきたかと思うと草履や着物の裾を濡らしておった。


その行動を不審に思った宗重は、ある晩お菊の後をつけることに、、、


すると、お菊は滝壺の渕の上にある岩で、茶碗で水をすくいそれを鏡代わりに髪を梳いておった。


しかも、その茶碗は宗重の家に家宝としている鶴亀の一対の茶碗。




宗重は驚き、





「そこにいるのはお菊ではあるまい。竜の化身であろう!」





すると、お菊は茶碗を持ったまま渕に飛び込み二度と浮いてくることはなかった。。。




宗重は可哀想なことをしてしまったと落ち込み家に帰ると、

梅の木に魚篭(魚などを入れる竹を編んだ籠)と手紙が吊るされておった。

魚篭の中には鮎や、あめごがいっぱい入っておった。



急いで手紙を開くと、、、



「長い間お世話になりました。自分の娘のように大事にしてくれた恩は忘れません。
 しかし、竜の化身と知られた以上かえれません。
 これから、魚が必要なときは、この魚篭を吊るしていただくと、いつでもお届けします。」





それからというもの、魚篭を吊るすと必ず魚が入れられていたが、

ある時宗重はたまたま吊るしてた紐を頑丈な鉄に変えてしまい、

竜はその鉄に恐れをなして、二度と魚が入ることがなかったそうな。






この出来事があってから百合谷では、子供にお菊という名を付けることが無くなったという。











恐ろしいというより、切なく哀しい話ですね。。。




ここ百合谷はわじき温泉方面にあり、現在は民家もほとんど無く、物静かな場所になっております。




その道中、
茶碗が渕 003

このような祠が右手に見えると、すぐに茶碗が渕が見えます。
茶碗が渕 009

分かりづらいですが、その規模の小ささとは逆に、全く底が見えない深さでした(・・;)
茶碗が渕 013

今でも竜と家宝のお茶碗がそこに眠っていても全く不思議ではない程、

何か、言葉では説明できない力がそこにあるような感じがしました。


1人では耐え難い雰囲気なので、私はこれにて退散致します。




正直やっぱビビるよね(・・;)笑





皆様も是非!と言いたいところですが、近くまでいくと少し危険なのであまり無理してはいけませんよ!


国道沿いからでも十分見ることができますので(^o^)



また、その時に場所等分からなければ、観光協会原宛までご連絡下さい!




ではでは、また明日もナカでお会いしましょう!





【問い合わせ先】
那賀町観光協会 原
0884-62-1198

「茶碗が渕」
参考文献:那賀町合併十周年記念誌 那賀町の民話233ページ

ナカの民話 episode1  「蛭子神社の大木倒し」

皆様は神話や都市伝説、怪談話は信じますか?
信じる信じないは別として、この手の話は好きな方が多いと思います(゜_゜#)
私は大好物ですけどね!笑


今回はそういった那賀町の様々なジャンルの昔話、
いわゆる民話を集めた那賀町の合併記念誌をご紹介致します。
img002.jpg


こちらの記念誌、300以上もの話が詰まっていて、とても面白い内容でした♪
これからはこちらのブログ旅で訪れる場所ごとに民話や神話を混ぜていきたいなと、、、

単に私が好きなだけなんですが、
素朴な場所などもこういった不思議な話を織り交ぜることで違った見え方ができて面白いのではないでしょうか!?




本日は以前ご紹介した蛭子神社にまつわる民話をお話し致します。。。



episode1 「蛭子神社の大木倒し」

旧鷲敷町の東に大木が生い茂る蛭子神社の森があり、そのすぐ下の那賀川には昔、今よりももっと澄んだ綺麗な川が流れており、6~10月には沢山の鮎が泳いでいた。
その鮎を取って暮らしを立てていた人々も少なくはなく、夜釣りに出向く姿がよく見られた。






ある夜更けのこと、その森の下で鮎を取っていると、、、







「パリパリッ。」








と、今にも大木が折れて頭上に倒れてくるような大きな音がするので、人々は度肝を抜かし家へ逃げ帰った。






翌朝、倒れた大木の様子を見に昨夜の場所に行ってみると。。。








大木が倒れているどころか、全く元のままだった。





ここには古くから大木倒しの狸と呼ばれる狸が住んでおり、このように夜釣りに来た人々を悪戯で驚かせて楽しんでいたのだった。



その度に



「蛭子はんの大木倒しにやられたぁ!」



と人々は頭を抱えていたのだった。。。    




END.




蛭子神社にこんな話が!と思った方も多いのでは?
蛭子神社2 005

蛭子神社2 004



昔から蛭子神社は今以上に整備されておらず、乱雑に木々が生い茂っていて、
おまけに街灯もない真っ暗な闇夜。
夜釣りで訪れる人々は少なからず不気味に感じていたのではないでしょうか?

そんな中風などでゆれた木々がきしむ音が余計に恐ろしく感じてもしょうがないですよねf(^_^;)




ちなみに、




那賀町を含む徳島県の狸は、様々な民話や伝説に登場しており、
どの狸も人の人智を超えた力があったと記されております。

今回の大木倒しの狸もそういった類の不思議な力を持っていたのかもしれませんね。






今回ご紹介した話は少しほのぼの感がありましたが、


話の中には震え上がるような怪談話もいくつかございました(-.-;)


まぁその話はまた後日ということで、、、





ではではまた明日もナカでお会いしましょう\(^o^)/





「蛭子神社の大木倒し」
参考文献:那賀町合併十周年記念誌【那賀町の民話】401ページより

テーマ : 地域情報
ジャンル : 地域情報

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Author:那賀町観光協会PR担当
〒771-5295
徳島県那賀郡那賀町和食郷字南川104-1
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Phone: 0884-62-1198
HP:http://i-naka.jp

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